10月最後の平日の今日は、息子にとっては今の保育園の最後の登園日。
「今日はハロウィンだあ!」と楽しみに出かけて行きました。
保育士さん達の根回しのおかげで、
近所の美容室のスタッフさん達からお菓子をもらってくるようです。
英語の習い事をやめた娘は、「今年はハロウィンなしかあ〜。」とがっかり気味。
といっても、インフルエンザの病み上がりでどのみちそれどころじゃないのですが(笑)。
すっかり日本でも定着したハロウィンですが、私は実はあんまり好きではありません。
アメリカに滞在時にかぼちゃのカーヴィングも楽しんだのですが
(ハロウィンかぼちゃはやわらかくて、専用のカーヴィンググッズを
使うとかなり凝った物が作れます)、
それでも、オレンジと黒の派手な組み合わせに骸骨、悪霊、という
なんともゲテモノ的なキャラクター達がどうもねえ・・・。
でも、「ハロウィンねえ・・・」と思ってしまう本当の理由は、実は別のところに。
この時期になると思い出す、懐かしいドイツのお祭りがあるからなのです。
そのお祭りとは、11月11日の夜にある「聖マルティン祭」。
「なにそれ?」という感じですよね(笑)。
聖マルティンとは、ローマ帝国の時代に実在したある司教。
素晴らしい人格者だったその人は、もともとは一兵士だったそうですが、
様々な経緯を経て、結果的に「聖人」として扱われるようになった方です。
亡くなった時、司教を慕ってとんでもない数の国民がかけつけたといわれる
お葬式が行われたのが11月11日。
そんな偉人をしのび、たたえるのが、聖マルティン祭なのです。
ちなみに現在ヨーロッパのあちらこちらにあるSt. Martinという名のついた教会は、
この人にちなんでつけられています。ドイツだけでなくヨーロッパ各国で知られた人なのです。
と、そんな事まで当時幼稚園・小学生だった私は理解してはいませんでしたが(笑)。
この時期になると、学校の先生が子どもにも理解しやすい逸話として
「ある寒い夜、裸の乞食を見かけたマルティンは、まとっていた軍のマントを
刀で半分に切り裂いて与えたんだよ。とても優しくて立派な人だったんだよ」、
とお話してくれたものでした。
そして、この日の夜に子供達がやる事は、
自作の提灯を持って家々を回り、お菓子をもらう事。
仮装こそしませんが、なんだかハロウィンそっくりでしょう(笑)?
でもお祭りの夜の雰囲気は、全く違うのです。
子供達は10月半ばごろからでしょうか、幼稚園や学校の工作の時間に
せっせと提灯を作り(毎年「今年はどんな作り方の提灯かなあ」と
楽しみにしていたのを覚えています)、
音楽の時間には聖マルティンをたたえる数々の歌を暗記するまで練習し、
時間をかけてその日の夜に備えていました。
当日の夜は全校生徒が学校に集まり、
松明を持った先生方と一緒に練習した歌を皆で歌った後に、
「気をつけてね」と送りだされた記憶があります。
※子供時代の写真をデジタル保管しているおかげで
出てきたよ、こんなお宝(?)映像が 笑。
家々の前で立ち止まると、「今度はこの曲にしよう」と、
覚えたたくさんの歌の中から一曲決めて、子供たちが皆で歌います。
中から出てきた人は、ニコニコしながら歌を最後まで聞いてくれたり、
途中で「ありがとう」と言って、お菓子をくれたり。
手作りの人型のパンやクッキーを用意してくれている人も、時にはいました。
夜に提灯を持って家々をまわってお菓子をもらう日。
やる事は同じでも、私の記憶にあるそのお祭りは、
町中のあちらこちらで、カラフルな手作り提灯がほんのりと灯り、
子供たちの賛美歌にも似た歌声が響く、
クリスマスのような厳かな空気の夜なのです。
だから、ハロウィンの「Trick or Treat !
(おかしくれないといたずらしちゃうぞ!)」が、
なんとも安易で風情がない気がして・・・。
毎年、 子供たちにこの呪文を教えてあげながらも、
「なんだかなあ・・・・」と思ってしまう母なのです(笑)。